ジャンシスロビンソンMWのセミナーを終えて [甲州について]
一昨日は山梨、昨日は東京にてジャンシスロビンソンMWのセミナーが開催されました
今回ジャンシスを日本に招いたのは、KOJ。世界で最も影響力のあるワインジャーナリスト・ジャンシスロビンソンが、甲州のセミナーを日本で行うなんて、すごいことになったなあ・・・何だか感慨深いものがあります。
セミナーでは、世界のワインのトレンド(と言っても、昨今においては、彼女がそのトレンドを作り出していると言っても過言ではないと思います)について話してくださいました。
お聞きになった方も多いかと思いますが、どんなことをお話してくださったか、書いてみたいと思います
世界のワインのトレンドとしては、(ちょっと要約しすぎですが)このような感じに捉えました。
シャルドネ(1970年代後半から1980年代)
↓
赤ワイン ロバートパーカーや、ワインスペクテーターに代表される。健康に良い?と取り上げたメデイアも後押し
↓
ピノノワール 「Sideways」
↓
ロゼ、白ワイン
今のトレンドは、特に白ワインでも、マロや樽を使ったものではなく、リースリングや、オーストリアのグリューナーが愛されているようです。
オーストラリアは、マーケットにとても反応が良い生産国ですが、オーストラリアで顕著なのは、最近、低アルコールの白がとても多くなっているのだそうです。(ちなみに、UKでは、輸入の第一位が、オーストラリア、二位がUSA、三位にイタリア、四位が南ア、五位がフランス、二十年前に独走していたフランスは、つい最近になり南アに越されたそうです。)
これは、マルチコースでお料理を提供する、スペインのエルフジや、ナパのフレンチランドリー、イギリスのファットダックなどでも、大抵、お料理ごとにマッチするグラスワインがついているのですが、そのグラスワイン、白ワイン:赤ワインが、6:1の割合であることも、物語っています。
これは、また食のトレンドとしても現れていて、食事も軽く、アジア的に(特に日本食は大ブーム)、肉より魚に、肉は鶏肉のような白身の肉へと、意向しているそうです。
また消費だけではなく、「生産」という面から見ても、今まで甘口の生産地だった、ロワールや、トカイでも、素晴らしい辛口が造られてきていることも、辛口白ワインへの傾斜がうかがえます。
つまり、甲州にとっては、これほどの機会はないというお話でした
東京のセミナーが終った後、ジャンシスからこんなことを言われました。
「私は、日本人に甲州を売ったわ!」
光栄なことに、ジャンシスが日本滞在中、何度かお話しする機会があったのですが、昨日の朝ジャンシスから、
「昨日ショックなことがあった」と話しかけられました。
一昨日、山梨の講演のあと、記者会見があったのですが、そのメデイアの一つから、
「甲州は、taste nothingだと思うのですが、どこに注目されたのでしょうか。」と質問され、とてもアグレッシブに感じたと言うのです。
「みんな近くにい過ぎて、その価値が分からない」と、アルゼンチンのマルベックや、オーストラリアのシラーズの話をしてくれました。
そして、セミナーでもその話を持ち出しました。
聴講者に、「甲州を一週間に一度飲むと言う人?」「甲州を一ヶ月に一度飲む人?」「甲州は、頻繁に飲まないという人?」と挙手をお願いしながら。
でも、それは生産者としても同じ。消費者がフランスワインを崇拝するように、生産者はカベルネやシャルドネへの夢を断ち切れないのです。
外国の方から、気付かされるものの大きさを感じていました。
そして私は、今回、ジャンシスロビンソンという人柄にすっかり魅了されていました。
私は造り手なので、偉大な造り手に会うと、舞い上がる気分になるし、真剣になります。
またその気持とは、別の感情でした。
山梨で、お会いしたとき、「ナパのシンポジウムに参加していたでしょう?トルコや、南アのワインメーカーから聞いてるわ!」なんて気さくな方だろうと最初に感じました。
そして、ジャンシスとお話していると、もちろんワイン業界で最も影響力のある女性ではあるのですが、働く女性のパワーを感じます。ジャンシスは、一日に何百通ものメールを受信し、ウエブサイトを、毎日更新しているのです。
ワインをテイスティングする場も、何度かご一緒させていただいたのすが、これは良い!と思うワイン以外は、ほとんど話さず、テクニカルなことをあまり聞かない方でした。
またワイン以外でも、KOJのロゴや、マーケテイングの仕方が本格的ですごく良い!とおっしゃっていましたね
そんなジャンシスが思う甲州のイメージ。
ピュア。繊細。繊細と言っても、弱弱しいのではなく、日本庭園のような美しさ。authenticity-本物であること。
私は、今回のセミナーで、ジャンシスとは、全く関係なかったのですが、気がかりなことを抱えていました。
今回のセミナーでは、KOJのアドバイザーを務めるリンシェリフMWとプロデユーサーの結花さんから、「明野の垣根甲州を使いたいのだけれど・・・」とお願いされました。
(今回、ジャンシスのセミナーでは、EU既定で造られた甲州5社のものが選ばれました。)
最初は、私よりも、社長が猛反対。「そんなことをしたら(15社の)足並みがそろわなくなる」
でも、思い始めたのです。
今回は、うち一社のためのセミナーではない。甲州全体として考えた時、少しでも可能性を感じるものをお見せしたい。
垣根甲州は、1990年から父が垣根に挑戦し、仲野農場長が甲州の優良選抜を行い、やっと2005年に結実した努力です。
もちろん、棚を否定するわけではありませんが、栽培からもう一度見直してみたかった。そんな一本が「キュヴェ三澤2009 明野農場」です。
それでも、「試験段階だし・・・」と弱気な私の背中を押してくれたのは、「もっと高い所を見ようよ」と言う結花さんの一言でした。
今回セミナーに出したことで、垣根の甲州がどうであるかということや、スタイルについて、生産者の方からも批判を受けました。
そんなときに、思い出されたのはジャンシスの高潔な姿でした
今回ジャンシスを日本に招いたのは、KOJ。世界で最も影響力のあるワインジャーナリスト・ジャンシスロビンソンが、甲州のセミナーを日本で行うなんて、すごいことになったなあ・・・何だか感慨深いものがあります。
セミナーでは、世界のワインのトレンド(と言っても、昨今においては、彼女がそのトレンドを作り出していると言っても過言ではないと思います)について話してくださいました。
お聞きになった方も多いかと思いますが、どんなことをお話してくださったか、書いてみたいと思います
世界のワインのトレンドとしては、(ちょっと要約しすぎですが)このような感じに捉えました。
シャルドネ(1970年代後半から1980年代)
↓
赤ワイン ロバートパーカーや、ワインスペクテーターに代表される。健康に良い?と取り上げたメデイアも後押し
↓
ピノノワール 「Sideways」
↓
ロゼ、白ワイン
今のトレンドは、特に白ワインでも、マロや樽を使ったものではなく、リースリングや、オーストリアのグリューナーが愛されているようです。
オーストラリアは、マーケットにとても反応が良い生産国ですが、オーストラリアで顕著なのは、最近、低アルコールの白がとても多くなっているのだそうです。(ちなみに、UKでは、輸入の第一位が、オーストラリア、二位がUSA、三位にイタリア、四位が南ア、五位がフランス、二十年前に独走していたフランスは、つい最近になり南アに越されたそうです。)
これは、マルチコースでお料理を提供する、スペインのエルフジや、ナパのフレンチランドリー、イギリスのファットダックなどでも、大抵、お料理ごとにマッチするグラスワインがついているのですが、そのグラスワイン、白ワイン:赤ワインが、6:1の割合であることも、物語っています。
これは、また食のトレンドとしても現れていて、食事も軽く、アジア的に(特に日本食は大ブーム)、肉より魚に、肉は鶏肉のような白身の肉へと、意向しているそうです。
また消費だけではなく、「生産」という面から見ても、今まで甘口の生産地だった、ロワールや、トカイでも、素晴らしい辛口が造られてきていることも、辛口白ワインへの傾斜がうかがえます。
つまり、甲州にとっては、これほどの機会はないというお話でした
東京のセミナーが終った後、ジャンシスからこんなことを言われました。
「私は、日本人に甲州を売ったわ!」
光栄なことに、ジャンシスが日本滞在中、何度かお話しする機会があったのですが、昨日の朝ジャンシスから、
「昨日ショックなことがあった」と話しかけられました。
一昨日、山梨の講演のあと、記者会見があったのですが、そのメデイアの一つから、
「甲州は、taste nothingだと思うのですが、どこに注目されたのでしょうか。」と質問され、とてもアグレッシブに感じたと言うのです。
「みんな近くにい過ぎて、その価値が分からない」と、アルゼンチンのマルベックや、オーストラリアのシラーズの話をしてくれました。
そして、セミナーでもその話を持ち出しました。
聴講者に、「甲州を一週間に一度飲むと言う人?」「甲州を一ヶ月に一度飲む人?」「甲州は、頻繁に飲まないという人?」と挙手をお願いしながら。
でも、それは生産者としても同じ。消費者がフランスワインを崇拝するように、生産者はカベルネやシャルドネへの夢を断ち切れないのです。
外国の方から、気付かされるものの大きさを感じていました。
そして私は、今回、ジャンシスロビンソンという人柄にすっかり魅了されていました。
私は造り手なので、偉大な造り手に会うと、舞い上がる気分になるし、真剣になります。
またその気持とは、別の感情でした。
山梨で、お会いしたとき、「ナパのシンポジウムに参加していたでしょう?トルコや、南アのワインメーカーから聞いてるわ!」なんて気さくな方だろうと最初に感じました。
そして、ジャンシスとお話していると、もちろんワイン業界で最も影響力のある女性ではあるのですが、働く女性のパワーを感じます。ジャンシスは、一日に何百通ものメールを受信し、ウエブサイトを、毎日更新しているのです。
ワインをテイスティングする場も、何度かご一緒させていただいたのすが、これは良い!と思うワイン以外は、ほとんど話さず、テクニカルなことをあまり聞かない方でした。
またワイン以外でも、KOJのロゴや、マーケテイングの仕方が本格的ですごく良い!とおっしゃっていましたね
そんなジャンシスが思う甲州のイメージ。
ピュア。繊細。繊細と言っても、弱弱しいのではなく、日本庭園のような美しさ。authenticity-本物であること。
私は、今回のセミナーで、ジャンシスとは、全く関係なかったのですが、気がかりなことを抱えていました。
今回のセミナーでは、KOJのアドバイザーを務めるリンシェリフMWとプロデユーサーの結花さんから、「明野の垣根甲州を使いたいのだけれど・・・」とお願いされました。
(今回、ジャンシスのセミナーでは、EU既定で造られた甲州5社のものが選ばれました。)
最初は、私よりも、社長が猛反対。「そんなことをしたら(15社の)足並みがそろわなくなる」
でも、思い始めたのです。
今回は、うち一社のためのセミナーではない。甲州全体として考えた時、少しでも可能性を感じるものをお見せしたい。
垣根甲州は、1990年から父が垣根に挑戦し、仲野農場長が甲州の優良選抜を行い、やっと2005年に結実した努力です。
もちろん、棚を否定するわけではありませんが、栽培からもう一度見直してみたかった。そんな一本が「キュヴェ三澤2009 明野農場」です。
それでも、「試験段階だし・・・」と弱気な私の背中を押してくれたのは、「もっと高い所を見ようよ」と言う結花さんの一言でした。
今回セミナーに出したことで、垣根の甲州がどうであるかということや、スタイルについて、生産者の方からも批判を受けました。
そんなときに、思い出されたのはジャンシスの高潔な姿でした
2010-02-24 12:46