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30年後の再会 [海外のワイン]

アルゼンチンに出発する前、父から一つのメールアドレスをもらっていました。
「もう誰かははっきりと思い出せないんだけど、メンドーサの造り手のアドレスだよ。」
知り合いのいない産地に行くとき、こういうアドレスには、何だか縁を感じるものです。

連絡を取ってみたところ、その人は、メンドーサにある「Tempus Alba」というワイナリーのオーナーということが分かりました。

Tempus Albaは、マルベックのクローンセレクションで知られたワイナリーです。
家族経営の小さなワイナリーですが、ワイナリーやワインのデザインがきれいですし、ワイナリー内にあるレストランでは、美味しい食事を楽しむことができます[レストラン]

オーナーは、カテナのチーフワインメーカーとも仲が良いのですが、メンドーサの数あるワイン団体の一つを任されているなど、メンドーサワインの発展にも努めている方です[ぴかぴか(新しい)]

オーナーは、連絡にびっくりしたそうですが、とても歓迎してくれました。そして、父と思い出を語ってくれました。オーナーと父が出会ったのは、何と30年前。父が山梨県の研修でアルゼンチンに訪れたとき、オーナーと知り合ったそうです。

「アルゼンチンワインは、30年前からずいぶん変ったよ。日本のワインはどう?甲州は?」

甲州という名前を覚えてくれたことが嬉しかったのと同時に、30年前というと、父も今の私と同じような年頃に、メンドーサを訪ねていたことになります。その頃、父は何を感じたのだろう・・・そんなことが頭をよぎりました。

「日本のワインもずいぶん変わりました。」

「あの頃の甲州は、甘口が多かったね。」

「もう、甲州のスタイルは、ほとんど辛口になりました。」

「あなたのような若い醸造家もたくさんいるの?」

「はい。」

「それは良かった。」

そんな会話をしながら、アルゼンチンワインと、日本ワインが、30年間で違う時の早さをを歩んでいたんだなと感じました。

世界の最高峰のワインにも選ばれるほどのアルゼンチンのマルベック。

日本ワインが歩んできたのは、試行錯誤の30年。これからの30年は、古いもの、新しいものが混ざり合って混沌としていくんだろうなとふと思いました。

父が果たせなかった30年来の再会に、思わず、自分の30年後を重ねました。
30年後、日本ワインは何も変わっていないじゃないか。そう新しい世代に言われないように頑張っていこう(笑)





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