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メトキシピラジン [ブドウ栽培とワイン醸造について]

カベルネソービニヨンに代表される
ピーマン香に由来するのは
2-イソブチル-3-メトキシピラジン
という物質です。

日本の醸造家仲間では
“メトキシ”などと、
省略して言うことが多いのですが、
葡萄が熟しにくい日本では、
それほど、頻繁に遭遇
するということだと思います[ダッシュ(走り出すさま)]

メトキシピラジンは
ボルドー系赤品種の
欠陥臭の一つとして
捉えられています[あせあせ(飛び散る汗)]

と言うのも、メトキシピラジンは、
太陽光で分解されることが
分かっているので、

例えば、カベルネソービニヨンから
メトキシピラジンを感じ取れると、
未熟と判断されたり、
収量の多さや、
キャノピーマネージメントが
粗雑であることを
指摘されます[ダッシュ(走り出すさま)]

私自身、ボルドー大学に留学していた頃、
「この香りは、ワインが熟成してもずっと残る
未熟香だからよく気をつけなさい。」
と教授陣から叩き込まれた
経験もあります[ペン]

ただ、現場と少し異なるなと感じるのは、
過熟気味の新世界の赤ワインの台頭を受け、
メトキシピラジンが若干ワインにある方が、
フレッシュな印象を受けて、
むしろボルドーらしいという意見があったり
することです[exclamation]

昨日、パリの星付きレストランのソムリエが
ワイナリーを訪ねてくださったのですが、
彼も、同じことを仰っていました。

自社農園がある明野町は、
日照時間が長いこともあり、
カベルネソービニヨンの糖度は
23度超えします[晴れ]

ただ、昨年では25度まで上がったものの、
標高が700mと高く、
カベルネソービニヨンにとっては
気候は冷涼です。

そのため、メトキシピラジンの香りが
残ってしまうことが多く、

これまでは、徹底した選果で
ピーマン香りを抑えるように
してきましたが、
今年は、房周りの葉を
全て除葉することにしました[exclamation]
カベルネ除葉.jpg

カベルネソービニヨンのような晩熟品種は、
これからが勝負になってきますので、
今年のような、
なかなか天候に振り向いてもらえない年は、
知恵を絞って、ひたすら努力する
それしかないように感じています[ひらめき]

メトキシピラジンをめぐっては
よく議論されます[exclamation]

メトキシピラジンが全くワインから
無くなってしまったから、
ワインが全部同じになってしまう
かもしれない・・・

少量のメトキシピラジンは、
複雑味に貢献するかもしれない・・・

私もワインが大好きなので、
ワインラヴァーとして、
そんなことも考えるのですが、

それでも、私は
できるだけ栽培の段階で
メトキシピラジンを抑えたいと
思っています。

技術力の無さを
言い訳にしたくないと言う、
プロとしての
意地みたいなものなのか・・・(笑)

醸造でどうこうしようとすると、
どうしてもバランスが崩れてしまうので、
栽培の段階でできるところは
工夫するのが良いように思っています。










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