羽ばたけ甲州~スペイン篇 [甲州について]
それはいつもと変わりのない、日曜日のお昼でした。
ワイナリーで仕事をしていると、ミサワワイナリーの名物おねえさん・藤原さんから、有料テイスティングの説明をお願いされました。
(右手手前が藤原さん。人手が足りない時には、選果も応援に来てくれます。
造りたいワインに理解があるので、とことんやってくれます!!)
ミサワワイナリーのほうでは、営業担当がいないので、繁忙期はワイナリーのツアーを行うことが難しくなっています。それでも遠方からおいでいただくお客様のために、簡単ではありますが、プレミアムワインの「有料テイスティング」を醸造のチームで担当しているのです。
(有名醸造家・工場長の袖山さんも、担当します。嬉しい初仕込を終えた後、今年の収穫を願って乾杯)
作業があると、例え15分とは言っても、なかなか時間を作りずらかったりするのですが、自分たちのてがけた「キュヴェ三澤」などのプレミアムワインを、醸造から説明でき、お客様の反応がうかがえる、そんな機会を私たち自身も大切にしています。
この日のお客様は、2組同時。
1組のご家族と、もう1組は東京よりわざわざお出でいただいた女性お2人でした(後で、彼女たちも姉妹だったことが判明!)
お話が進むにつれて分かったことなのですが、ご家族のうちの若い男の子が、今、スペインで日本の食材を広めるお仕事をされているとのこと。
彼の言葉に心打たれました。
甲州に出合い、これだと思いました。今御社の甲州を何とか輸入したいと頑張っているところです。
実際に造っているところへ行かなくてはと思ったら、造り手と会えたので、ほんと良かったです。
その彼から、今日メールが来ました。
甲州の輸入にこぎつけて、さらにスペインにて正式なオファーもいただいたとの喜びのメールでした。
「スペインに来た当初から『日本産のワインを広める』というのが大きなひとつの目標というか、希望というか、強く抱いていた想いだったので今回の正式なオファーの実現がうれしくてたまりませんでした・・・
甲州をこれから実際に市場に売り出していく上で、事の大変さも確かに感じますが、今はこの甲州ワインがどれだけ沢山のスペインの人々の食卓に感動をもたらしてくれるのだろうという想いがとても強く、またその一歩を早く踏み出していきたいという情熱感で一杯です。」
甲州の魅力に完全に魅了されてしまいました・・・とも。
彼の言葉は、いつもしびれます!
心強さを感じる一方で、私は昔、甲州を初めてフランス人に見せたときのことを思い出していました。
ライスワインと言われたこともありました。
さらに思い出したのは、それにまつわる父の言葉です。
もう何十年も昔、甲州をプラムワインとからかわれ、本当に悔しかった。と語っていました。
・・・今、たくさんの夢を乗せて、甲州はスペインでも羽ばたこうとしています!!
ワイナリーで仕事をしていると、ミサワワイナリーの名物おねえさん・藤原さんから、有料テイスティングの説明をお願いされました。
(右手手前が藤原さん。人手が足りない時には、選果も応援に来てくれます。
造りたいワインに理解があるので、とことんやってくれます!!)
ミサワワイナリーのほうでは、営業担当がいないので、繁忙期はワイナリーのツアーを行うことが難しくなっています。それでも遠方からおいでいただくお客様のために、簡単ではありますが、プレミアムワインの「有料テイスティング」を醸造のチームで担当しているのです。
(有名醸造家・工場長の袖山さんも、担当します。嬉しい初仕込を終えた後、今年の収穫を願って乾杯)
作業があると、例え15分とは言っても、なかなか時間を作りずらかったりするのですが、自分たちのてがけた「キュヴェ三澤」などのプレミアムワインを、醸造から説明でき、お客様の反応がうかがえる、そんな機会を私たち自身も大切にしています。
この日のお客様は、2組同時。
1組のご家族と、もう1組は東京よりわざわざお出でいただいた女性お2人でした(後で、彼女たちも姉妹だったことが判明!)
お話が進むにつれて分かったことなのですが、ご家族のうちの若い男の子が、今、スペインで日本の食材を広めるお仕事をされているとのこと。
彼の言葉に心打たれました。
甲州に出合い、これだと思いました。今御社の甲州を何とか輸入したいと頑張っているところです。
実際に造っているところへ行かなくてはと思ったら、造り手と会えたので、ほんと良かったです。
その彼から、今日メールが来ました。
甲州の輸入にこぎつけて、さらにスペインにて正式なオファーもいただいたとの喜びのメールでした。
「スペインに来た当初から『日本産のワインを広める』というのが大きなひとつの目標というか、希望というか、強く抱いていた想いだったので今回の正式なオファーの実現がうれしくてたまりませんでした・・・
甲州をこれから実際に市場に売り出していく上で、事の大変さも確かに感じますが、今はこの甲州ワインがどれだけ沢山のスペインの人々の食卓に感動をもたらしてくれるのだろうという想いがとても強く、またその一歩を早く踏み出していきたいという情熱感で一杯です。」
甲州の魅力に完全に魅了されてしまいました・・・とも。
彼の言葉は、いつもしびれます!
心強さを感じる一方で、私は昔、甲州を初めてフランス人に見せたときのことを思い出していました。
ライスワインと言われたこともありました。
さらに思い出したのは、それにまつわる父の言葉です。
もう何十年も昔、甲州をプラムワインとからかわれ、本当に悔しかった。と語っていました。
・・・今、たくさんの夢を乗せて、甲州はスペインでも羽ばたこうとしています!!
2009-11-10 21:50
糖度20度の壁 [甲州について]
私たちワイナリースタッフがこよなく愛する日本の伝統品種、甲州のお話を書きたいと思います。
甲州は、長年、生食用葡萄として栽培されてきましたが、ルーツを辿れば、醸造用葡萄。
今見つかっている中では、アジアで唯一のワイン専用品種として、今世界中から注目を集めています。
日本では、他の生食用品種と同様、ぶどう棚式での栽培が一般的ですが、これは、甲州の樹勢が強いためだと言われています。
私たちの自社農園では、甲州がヨーロッパ品種と同じ、垣根式で植えられています。
それはひとえに、醸造用葡萄として甲州を育ててみたいという挑戦です。
甲州には、糖度が上がりにくい性質があります。ある一定の熟度に達すると、ぴたっと動かなくなってしまうのです。
私たちは、今年、垣根式甲州の収穫を、11月まで引っ張りました。
9月、10月の天候に恵まれたたため、このまま、畑で待ったら糖度が20度を超えるのではないか?!という期待がありました。
以前、葡萄の収穫期を決めるのは糖度ではないというお話をしましたが、糖度は最低限必要なものであって、醸造家はそれから先の要素ー香りであったり、タンニンの質であったりを追求しなければなりません。
本来であれば、糖度20度は、葡萄が熟す最低のラインを意味していると考えます(もちろんスパークリング用など、造るワインによっては、その下の糖度が求められることがあります)。
しかし、糖度20度を越す甲州は、とても稀なのです。
今年も、この壁を越えることは出来ませんでした。
しかし、時間はかかりますが、甲州の系統選抜を続けることによって、糖度の問題は必ず解決できると信じています。
甲州は、まだまだ未開の品種。どんな可能性があるのか、私も楽しみです。
甲州は、長年、生食用葡萄として栽培されてきましたが、ルーツを辿れば、醸造用葡萄。
今見つかっている中では、アジアで唯一のワイン専用品種として、今世界中から注目を集めています。
日本では、他の生食用品種と同様、ぶどう棚式での栽培が一般的ですが、これは、甲州の樹勢が強いためだと言われています。
私たちの自社農園では、甲州がヨーロッパ品種と同じ、垣根式で植えられています。
それはひとえに、醸造用葡萄として甲州を育ててみたいという挑戦です。
甲州には、糖度が上がりにくい性質があります。ある一定の熟度に達すると、ぴたっと動かなくなってしまうのです。
私たちは、今年、垣根式甲州の収穫を、11月まで引っ張りました。
9月、10月の天候に恵まれたたため、このまま、畑で待ったら糖度が20度を超えるのではないか?!という期待がありました。
以前、葡萄の収穫期を決めるのは糖度ではないというお話をしましたが、糖度は最低限必要なものであって、醸造家はそれから先の要素ー香りであったり、タンニンの質であったりを追求しなければなりません。
本来であれば、糖度20度は、葡萄が熟す最低のラインを意味していると考えます(もちろんスパークリング用など、造るワインによっては、その下の糖度が求められることがあります)。
しかし、糖度20度を越す甲州は、とても稀なのです。
今年も、この壁を越えることは出来ませんでした。
しかし、時間はかかりますが、甲州の系統選抜を続けることによって、糖度の問題は必ず解決できると信じています。
甲州は、まだまだ未開の品種。どんな可能性があるのか、私も楽しみです。
2009-11-04 20:23