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垣根甲州を仕込みました! [甲州について]

[ぴかぴか(新しい)]ミサワワイナリーの仕込も後半の山場を迎えようとしています。

この時期は、毎日、深夜作業が続くため、なかなかブログをアップできなかったのですが、今日は、この感無量の想いを伝えたくて、PCを開きました[ぴかぴか(新しい)]

今日は、自社農園の垣根甲州を仕込んだ日。

一昨日、フジッコワイナリーの雨宮さんから電話があり、ちょうど垣根甲州の話をしたばかり。

雨宮さんも垣根甲州を育てています。

育てているとは言っても、穂木の選別や土地探し、栽培方法の確立に時間は要するもので、私たちの垣根甲州は、やっとスタートラインに立ったばかり。

「酵母何使う?シュール・リー何ヶ月する?」私が、今まで、他社のワインメーカーたちと交わして来た会話です。

農協から葡萄を買っているだけでは、同じ原料で、テクニックを競い合うだけです。

でも、雨宮さんと話していると、しっかりと未来を感じることができます。


「垣根甲州仕込んだよ。やっぱり、垣根甲州は、今年も糖度が高めだったよ!」

私は、その雨宮さんの電話からずっと、気分は既に自社の垣根甲州に飛んでいました。

収穫には父も駆けつけ、「ワイン用の葡萄を切っている感じがする」と一言。

今日の仕込みは、緊張と重圧でいっぱいいっぱい。
スタッフに助けられ、無事に果汁を取ることができました。

垣根甲州[ぴかぴか(新しい)]
垣根甲州.JPG


勝沼町・鳥居平地区の一文字仕立ての甲州を初めて見た時も、その顆粒の小ささに驚きましたが、垣根甲州はさらに凝縮しています。
甲州顆粒.JPG


未来に通じる甲州を造りたいと思っています。この先、果実味のある甲州を生むことができれば、「熟成する辛口甲州」も、夢でなくなるかもしれません。


ミサワワイナリーでは、繁忙期に、毎年国内、海外からセラーハンド(醸造のお手伝い)が訪れます。

今年は、10日間、東京から女性のソムリエールがお手伝いに来てくださり、その後は、約3週間、フランス人のソムリエにお手伝いいただきました。

今日は、そのフランス人の男の子の最終日。

実は、東京のソムリエールは、ミサワワイナリー初の女性セラーハンド。
女性がいると、ワイナリーがやはりきれいになりますね!スタッフの男の子たちがいつにも増して機嫌がいいのも、良かったです(笑)

フランス人のソムリエも、慣れない仕事ながら、すぐに順応してくれ、また力仕事にもご協力いただきました!
お疲れ様。頑張り抜いてくれて本当にありがとう[ぴかぴか(新しい)]











「Independent」「Financial Times」 [甲州について]

遅ればせながら、ジャンシスロビンソンと、アンソニーローズが甲州の記事を書いてくださっていましたので、載せますね[ぴかぴか(新しい)]

「Independent」 アンソニーローズ
http://www.independent.co.uk/life-style/food-and-drink/features/anthony-rose-with-more-sommeliers-than-any-country-in-the-world-the-japanese-are-taking-wine-to-their-hearts-1902599.html

「Financial Times」ジャンシスロビンソン
http://www.ft.com/cms/s/2/5a2e1532-27e1-11df-9598-00144feabdc0.html

「Jancis Robinson.com」
http://www.jancisrobinson.com/articles/a201003021.html


甲州は、ほんの10年前までは、ワイン用葡萄としては2流だと考えられていました…。
それがこうやって、世界のワイン市場に影響力のある方々に注目されるようになるなんて、甲州の軌跡がプレゼントで、甲州を守ってきた祖先に感謝だし、また甲州に賭ける人たちの想いにも胸が熱くなります。

本当に多くのものや、たくさんの人たちに支えられているんですね。。

「今、どんなお気持ちですか?」と聞いてくださる方がいらっしゃいます。

今まで、色々なことがありました。これから甲州を取り巻く環境は、もっともっと変化していくかもしれません。

その度に、一喜一憂ではなく、冷静に「今足りないもの」を追及していきたいと思っています。

それは、3年前に日本に戻った時の気持ちと同じ。

あと30年後、50年後、甲州がどんな姿になっているか、まだ分かりませんが、全てがそれまでの過程だった。そう思って造り手人生を重ねられたら、終えられたらいいなと思います。






垣根甲州 [甲州について]

久しぶりに、フジッコワイナリーの雨宮さんと飲みました[ぴかぴか(新しい)]

私にとって、雨宮さんは心の同志。日本に戻ってから、とてもお世話になっています[ぴかぴか(新しい)]

今日の話題は、垣根甲州へ。

雨宮さんは、勝沼で垣根甲州を育てています。

垣根、垣根とは、最近騒がれるようになりましたが、ここまで長い時間をかけて来たのは、弊社も雨宮さんも一緒。

90年から、父が垣根を試し、実生栽培を試し、甲州の可能性を追い求めたように、雨宮さんも、甲州の優良選抜をずっと行ってきました。畑に足を運び、あらゆる葉をチェックしながら…

同じ勝沼に生まれ、勝沼で育った雨宮さんが言うのは「あやなちゃんも自分も、どこにも行き場所がないのだから」。

今、私達が賭ける可能性が未来につながりますように[ぴかぴか(新しい)]

今年は共に、垣根甲州を商品化させる予定です。


余談なのですが、遅かれ早かれ、雨宮さんとは、ワイン会を計画中です。

決まりましたら、ブログにアップさせていただきますね!!

甲州とピエロパンのソアヴェクラシコを飲みました[ぴかぴか(新しい)]
ピエロパンソアーヴェ 圧縮.jpg

ピエロパンは、友達のソムリエールのお勧め[るんるん]
1800円くらいだったのですが、良質のロングコルクを使っていてビックリしました。
2008年のものですが、果実がたっぷり(パイナップル?)でした。こういう感じだと、甲州の方がやっぱりタイプな私でした!





お大事に・・・ [甲州について]

ジャンシスロビンソンMWのサイトで教えてもらいました[ぴかぴか(新しい)]

http://twitpic.com/1560bu My sorry state on leaving Japan for HK at Grace w King Koshu, Mr Misawa

写真を見ると、本当にユーモアがある方なのだなあと実感です[かわいい]
日本で、風邪を引いてしまったジャンシス・・・早く治ると良いのですが・・・

来週の土曜日のフィナンシャルタイムズでは、いよいよ甲州のことを書く予定なのだそうです[ぴかぴか(新しい)]


ジャンシスロビンソンMWのセミナーを終えて [甲州について]

一昨日は山梨、昨日は東京にてジャンシスロビンソンMWのセミナーが開催されました[ぴかぴか(新しい)]

今回ジャンシスを日本に招いたのは、KOJ。世界で最も影響力のあるワインジャーナリスト・ジャンシスロビンソンが、甲州のセミナーを日本で行うなんて、すごいことになったなあ・・・何だか感慨深いものがあります。

セミナーでは、世界のワインのトレンド(と言っても、昨今においては、彼女がそのトレンドを作り出していると言っても過言ではないと思います)について話してくださいました。

お聞きになった方も多いかと思いますが、どんなことをお話してくださったか、書いてみたいと思います[ぴかぴか(新しい)]

世界のワインのトレンドとしては、(ちょっと要約しすぎですが[たらーっ(汗)])このような感じに捉えました。

シャルドネ(1970年代後半から1980年代)

赤ワイン ロバートパーカーや、ワインスペクテーターに代表される。健康に良い?と取り上げたメデイアも後押し

ピノノワール 「Sideways」

ロゼ、白ワイン


今のトレンドは、特に白ワインでも、マロや樽を使ったものではなく、リースリングや、オーストリアのグリューナーが愛されているようです。
オーストラリアは、マーケットにとても反応が良い生産国ですが、オーストラリアで顕著なのは、最近、低アルコールの白がとても多くなっているのだそうです。(ちなみに、UKでは、輸入の第一位が、オーストラリア、二位がUSA、三位にイタリア、四位が南ア、五位がフランス、二十年前に独走していたフランスは、つい最近になり南アに越されたそうです。)

これは、マルチコースでお料理を提供する、スペインのエルフジや、ナパのフレンチランドリー、イギリスのファットダックなどでも、大抵、お料理ごとにマッチするグラスワインがついているのですが、そのグラスワイン、白ワイン:赤ワインが、6:1の割合であることも、物語っています。

これは、また食のトレンドとしても現れていて、食事も軽く、アジア的に(特に日本食は大ブーム)、肉より魚に、肉は鶏肉のような白身の肉へと、意向しているそうです。

また消費だけではなく、「生産」という面から見ても、今まで甘口の生産地だった、ロワールや、トカイでも、素晴らしい辛口が造られてきていることも、辛口白ワインへの傾斜がうかがえます。

つまり、甲州にとっては、これほどの機会はないというお話でした[かわいい]


東京のセミナーが終った後、ジャンシスからこんなことを言われました。

「私は、日本人に甲州を売ったわ!」

光栄なことに、ジャンシスが日本滞在中、何度かお話しする機会があったのですが、昨日の朝ジャンシスから、
「昨日ショックなことがあった」と話しかけられました。

一昨日、山梨の講演のあと、記者会見があったのですが、そのメデイアの一つから、
「甲州は、taste nothingだと思うのですが、どこに注目されたのでしょうか。」と質問され、とてもアグレッシブに感じたと言うのです。

「みんな近くにい過ぎて、その価値が分からない」と、アルゼンチンのマルベックや、オーストラリアのシラーズの話をしてくれました。

そして、セミナーでもその話を持ち出しました。
聴講者に、「甲州を一週間に一度飲むと言う人?」「甲州を一ヶ月に一度飲む人?」「甲州は、頻繁に飲まないという人?」と挙手をお願いしながら。

でも、それは生産者としても同じ。消費者がフランスワインを崇拝するように、生産者はカベルネやシャルドネへの夢を断ち切れないのです。

外国の方から、気付かされるものの大きさを感じていました。

そして私は、今回、ジャンシスロビンソンという人柄にすっかり魅了されていました。

私は造り手なので、偉大な造り手に会うと、舞い上がる気分になるし、真剣になります。

またその気持とは、別の感情でした。
山梨で、お会いしたとき、「ナパのシンポジウムに参加していたでしょう?トルコや、南アのワインメーカーから聞いてるわ!」なんて気さくな方だろうと最初に感じました。
そして、ジャンシスとお話していると、もちろんワイン業界で最も影響力のある女性ではあるのですが、働く女性のパワーを感じます。ジャンシスは、一日に何百通ものメールを受信し、ウエブサイトを、毎日更新しているのです。

ワインをテイスティングする場も、何度かご一緒させていただいたのすが、これは良い!と思うワイン以外は、ほとんど話さず、テクニカルなことをあまり聞かない方でした。

またワイン以外でも、KOJのロゴや、マーケテイングの仕方が本格的ですごく良い!とおっしゃっていましたね[ぴかぴか(新しい)]

そんなジャンシスが思う甲州のイメージ。

ピュア。繊細。繊細と言っても、弱弱しいのではなく、日本庭園のような美しさ。authenticity-本物であること。


私は、今回のセミナーで、ジャンシスとは、全く関係なかったのですが、気がかりなことを抱えていました。

今回のセミナーでは、KOJのアドバイザーを務めるリンシェリフMWとプロデユーサーの結花さんから、「明野の垣根甲州を使いたいのだけれど・・・」とお願いされました。

(今回、ジャンシスのセミナーでは、EU既定で造られた甲州5社のものが選ばれました。)

最初は、私よりも、社長が猛反対。「そんなことをしたら(15社の)足並みがそろわなくなる」

でも、思い始めたのです。

今回は、うち一社のためのセミナーではない。甲州全体として考えた時、少しでも可能性を感じるものをお見せしたい。

垣根甲州は、1990年から父が垣根に挑戦し、仲野農場長が甲州の優良選抜を行い、やっと2005年に結実した努力です。
もちろん、棚を否定するわけではありませんが、栽培からもう一度見直してみたかった。そんな一本が「キュヴェ三澤2009 明野農場」です。

それでも、「試験段階だし・・・」と弱気な私の背中を押してくれたのは、「もっと高い所を見ようよ」と言う結花さんの一言でした。

今回セミナーに出したことで、垣根の甲州がどうであるかということや、スタイルについて、生産者の方からも批判を受けました。

そんなときに、思い出されたのはジャンシスの高潔な姿でした[ぴかぴか(新しい)]





酵母別試験仕込みの試飲会 [甲州について]

昨日、組合が主催する甲州の酵母別仕込みの試飲会に行ってきました。

広島の酒類総合研究所の後藤先生が、お忙しい中、14種類の小仕込みを行って下さいました。

酵母としては、7種類でしたが、9月に収穫したもの、10月に収穫したものと2パターンでしたので、計14種類。


発酵の主役は、何といっても酵母です。

以前、先輩の造り手が「造り始めた当初、発酵って神秘的なものだなあと思ったものだよ」とおっしゃっていました。それからずっと発酵の神秘に魅せられているとおっしゃっていました。

発酵は、造り手を慎ましい気持ちにさせてくれるものなのかもしれません。

いざ発酵が始まると、人ができることは意外と少ないので・・・


今は、世界中で、酵母も、天然の酵母を使うワイナリーがあったり、培養された乾燥酵母を使うワイナリーがあったり、色々です。

よく議論されるところですが、どちらが良くて、どちらが悪いということはないと、私は思っています。

お互いに、長所短所を持っていて、造り手がどういうワインを造りたくて、どういう選択をしていくかということなのだと感じています。

普段議論に上ることは少ない乾燥酵母ですが、実は、買えば、500gで5千円以上、高いものでは、8千円近いものもあります。

この日、出された培養酵母は、いくつかの酵母会社から出されるどれも有名な酵母。

D47、VL1、VL3、CEG、ICV Opale、228、PDMの7種類でした。

総合的に判断しなければいけないことを考えると、少し短絡的な見方ですが、この日は、VL1が安定していて、CEGや、ICV Opaleからも興味深い味わいが出ていたように感じます。
逆にPDMはニュートラルで、228は評判ほど香りに面白みを感じませんでした。どちらかというと、味わいの中で塩味や、苦味を感じました。VL3は、ちょっとフェノリックな感じが目立ちました。

でも一番考え込んでしまったのは、酵母によって味や、香りが異なるのは当たり前ではあるのですが、何だかさびしい気持にもなりました。

仲良し?の山梨ワインの野沢さんも来ていたのですが、やっぱり同じことをおっしゃっていました。
甲州が、酵母でこれだけ変わるのは、少し残念です。
でも、それは今の甲州だから。

いずれ産地を代表するような甲州葡萄が出来てきたら、酵母の選択を超える味わいが表現できるようになると信じます!


あっ・・指摘をいただくことがあるのですが、また絵文字を使わなかった・・造りのことになるとつい・・・読みにくくてすみません!








ロンドンから戻りました! [甲州について]

昨日、ロンドンにおける初めてのプロモーションから帰国しました。

甲州の手ごたえを感じた一週間を早速報告いたします!

グレイスワインのメルマガを通して、ロンドンより一度リポートさせていただいたので、内容が重複してしまうかもしれません。ご了承ください。


1月11日
山梨県の横内知事、甲州市の田辺市長が、ともにロンドン入りし、プロモーションへの激励会を催してくださいました[ぴかぴか(新しい)]


1月12日
日本大使館にて、Japan society関係者の方々を招き、甲州の試飲会を行いました。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamanashi/news/20100113-OYT8T01367.htm

私自身、フランスに留学中、少しでも甲州を紹介したいという思いがありました。そんな時、実際にバックアップしてくださったのは、フランス在住の日本人の方々でした。
海外に暮らせば、誰もが感じる日本への思い。

いずれ、ロンドンでいざ甲州が売られるようになれば、必ずご声援いただける方々と出会うことができました。


1月13日
高級和食レストラン「umu」にて、トップワインジャーナリスト&マスターソムリエを招き、甲州と和食のマリアージュ会を行いました。
ジャンシスロビンソンMW、マイケルブロードベンド、スチーブンスパリエ、オズクラーク、ジェイミーグッド、アンソニーローズ・・・ワイン業界のオールスターズが総勢21名。
雪が降る日で、コンサルを務めるリーンシェリフMWは、後に、「このオールスターズが、誰一人欠席することなく来てくださったのは、すごく稀なことなのよ!」と教えてくれました。
一人だけ、遅刻者がいらっしゃったのですが、サウスイングランドに住むジャーナリストで、雪で電車が止まってしまい、車で空港まで乗りつけ、ガトウイック空港から急行を使って駆けつけてくれたとのこと。彼も、もちろん、A1ジャーナリストの一人,チャールズ・マトカルフェでした。
UMU1.JPG
「とても素晴らしい会でした!」と参加した多くの方からコメントをいただきました。
また終了後、マイケルブロードベンドや、アンソニーローズから、早く手に入れたい。そんな電話もリーンさんのもとに届いたようです。

夜は、商工会の賀詞会に参加。
挨拶をしてくださった、ロンドンの商工会会頭、大使、山梨県知事の三人がそろって、甲州を取り上げてくださいました。
このとき、私は、ついているという言葉では済まされないような、ご縁を感じました。
リーンさんにしても、これほどすごい方が、熱心に甲州のマーケテイングをしてくださることにしろ、本当に甲州の時代なのかもしれません!!


1月14日
この日は、JETROとのミーテイングと、市場調査。
JETROとのミーテイングでは、「甲州が、日本食や日本の何かとしての流通ではなく、世界の中の一つのワインとして流通して欲しい・・・」との思いを新たにしました。

市場調査として、高級スーパーのウエイトローズを見学、フォートナム&メイソンのワインショップへ。
私は、イギリスのスパークリングNyetimberの2001年を購入しました!

その後、ハンドクラフトワインセラーズへ。
こじんまりとしたワインショップですが、とてもセレクトされていました。
そこでリーンさんと、お店のマスターオブワインの方が、小さなセミナーを開いてくれました。

プイヒュメ、スペインのアルバリーニョ、南アのシュナンブランが並びました。

テロワールとミネラル感を表すピュイフュメ、タパスと一緒にグラスワインとして大成功したセミアロマテイック系品種のアルバリーニョ、NZのソーヴィニヨンブランと並び、ロンドンでグレイトサクセスストーリーを持つ、南アのシュナン・・・
どれも、甲州のお手本にしたいお話ばかりでした。そして、どれも、15ポンド前後のワイン。甲州がUKで戦っていかなければならないワイン達です。
リーンさんと、お店の方のご好意に感謝です。

また、今回の市場調査で、日本食がかなりブームにあることも知りました。
これから、どの国も「日本食に合うワイン」として、プロモーションをかけてくることでしょう。でも、ドイツワインでもなく、オーストリアワインでもなく、スパークリングでもなく、甲州がやはりその先頭に立たなければいけない!そう決意しました。


1月15日
最も大切なビックワインテイステイングを、イマジネーションギャラリーで行いました。
前日ブルゴーニュの試飲会も行われており、光が差し込む明るい空間で、最高の場所でした。
180名余りの登録があり、多くのMW、レストラン関係者が訪れてくれました。

この日は、グレイス甲州08、グレイス茅ヶ岳08、グレイス茅ヶ岳09(タンクサンプル)をサービス。
山梨ワインさんと.jpg
山梨ワインの野沢さん、ちょっとうちのボトルにかぶってますけど、プロモーション中いつも荷物持たされてた苦労を、ちゃんと書いておいてあげます(笑) 山梨ワインの甲州も人気でした。


ジャンシスロビンソンMWも前々日に引き続いて、いらっしゃってくれました。
緊張のせいか、かなり恐い顔で説明しちゃってました(笑)
ビッグワインテイステイング 圧縮.JPG




すごく長くなってしまってスミマセン。。

甲州を可能性を感じたことと同時に、戦いに入った。そう実感しました。
この週は、ロンドンで最も大切と言われたブルゴーニュ、NZの試飲会がありました。
そこに甲州は、入り込んだのです。

フランスのワインはロンドンにおいて、たった10年余りで、30%のシェアを失いました。
今、プロモーションで盛り返していますが、専門家の間では、ブルゴーニュの試飲会は、有力なライバルとしてみなされるNZワインの試飲会にわざとぶつけたという見方もあるそうです。

甲州に将来があることは分かりました。
これから、どう戦っていくか。今後はもっと大変です。

また、造り手として、自社畑できちんと甲州を栽培する大切さ。今の甲州に足りないものを突きつけられた一週間でもありました。


なお、この模様は、19日夜のNHKBS経済最前線、20日のおはよう日本(場合によっては、他のニュースとの関係で、飛ばされてしまうかもしれません)で放送される予定です。
お時間のある方、ぜひぜひご覧ください[ぴかぴか(新しい)]


NHKの取材を受ける社長。横には、ジャンシスロビンソンMWとのツーショットをすかさず撮ってくれた県庁の仲田さん。
NHK取材.jpg


最後になりましたが、リーンさん、結花さん、社長、広報担当のADKのみなさん、県の方々、他のワイナリーのみなさん本当にお疲れ様でした。
お手伝いいたただいた、るみちゃん、通訳の方々にも心からお礼を申し上げます。
ロンドン お疲れ様.jpg



KOJ [甲州について]

・・・いよいよ甲州が、ロンドンデビューします!!どきどきします。

最初のプロモーションは、大使館にてのイベント。さらには、ジャンシスロビンソンMWや、オズクラークなど、ロンドンの市場に最も影響力のあるジャーナリストやマスターソムリエを招いた試飲会が予定されています。。
(この模様もできるだけ、皆様にお伝えできるように・・・ブログが書けなくても、何らかの方法でお伝えできたらと思っていますので、どうぞご注目ください[ぴかぴか(新しい)]

寝なくてはいけないと分かっているのですが、胸騒ぎなのか、なかなか寝付けません[あせあせ(飛び散る汗)]

今、夜中の2時半です。
あと3時間後には、KOJのプロモーションでロンドンに向けて家を出ます。

説明が遅れてしまったのですが、KOJ(Koshu of Japan)とは、「甲州をヨーロッパへ輸出する」プロジェクト。
昨年、経済産業省に正式に採用され、山梨県と、山梨県の15ワイナリーが甲州のプロモーションをヨーロッパで行うというものです。
と言ってしまうと簡単ですが、その裏には、過去の偉大な造り手たちの土台あり、そして今、何かを形にしたいと決意する造り手たちの努力あり・・・です。

私自身、このプロジェクトの走りから、もちろんほんの少しですが参加することができ、甲州を見つめなおす良い時間で、その二年あまりの準備期間に多くのことを学びました。
甲州をただ好きではダメだと言う事から始まり、海外にアピールする方法を学んだということもありますが、人間関係から学んだ事が実際に大きかったように思います。

特に、KOJのキーパーソンから・・・

リーンシェリフMW。
世界のワイン業界の権威者でありながら、親日家。今回のプロモーションを常にアドバイスしてくださっています。
甲州を世界に!!という思いで、多忙な毎日ながら、甲州のプロモーションをするのが楽しみでたまらないとおっしゃっていました。
リーンさんとの話の中で、心に残っている事はたくさんあるのですが、リーンさんの人柄を表すような言葉を紹介させてください。。
「私は、若い頃、多くの人に支えられて、ここまで来る事が出来た。
 だから、私は、才能がある若い人たちに、できるだけ投資をしたい。」


小笠原結花さん。
甲州をリーンさんに教えたのは結花さん。現在、日本を代表するMWスチューデントとして活躍されていますが、誰よりも甲州に惚れ込んでいるのは、結花さんかもしれません。
結花さんは日本と、海外のマーケットをつなぐ架け橋の存在。
個人的には、妹のように可愛がってもらっていて、本当に感謝です。


社長。
自分の父親のことはあまり書けませんが、父が、一社だけ輸出をすることもできたのに、会社の利潤ばかりではなく、こうやって足並みを揃えることに費やした時間と努力は、計り知れません。
ロマン。父の背中を見ていると、そんな言葉が浮かんできました。


国の事業である以上、批判もあるかもしれません。
全てのワイナリーの甲州がそこまでの水準に達していないかもしれません。

でも、アツイ想いが詰まった、どこか古風なKOJをどうか皆さんにも応援していただきたいと思っています。


KOJについてのサイト
http://www.koshuofjapan.com/japanese/introduction/index.html

甲州とジャンシスロビンソンMW [甲州について]

このたび、甲州のプロモーションを担うプロジェクトチーム「KOJ」の努力により、ジャンシスロビンソンMWのセミナーが、山梨と東京でそれぞれ行われる運びとなりました。

(弊社のHPでもアップされていますが、詳細をお知りになりたい方はこちらをご覧ください。)
http://www.grace-wine.co.jp/event/20100222p1.jpg


私の亡くなった祖父は、甲州のことを、「これがヴィニフェラの香りだよ」と教えてくれました。
まだ、甲州が、ワイン用葡萄として二流として考えられていた時代。甲州も、食用葡萄と同様に捉えられていました。
その後も、勝沼で一番最初にカベルネソーヴィニヨンを植栽したり(残念ながら、その畑は、病害で壊滅してしまったのですが・・)、先見のあるひとだったように思います。

そんな祖父でも、よく「日本のワインが世界のワインと肩を並べられるようになるなんて、鯉が滝を登るよりも難しい」と冗談めいていたのを、思い出します。

現に、私の祖父が得意だったのは、甲州の甘口ワイン。
補糖をし、発酵を途中で止めることによって、ある程度のボリューム感と残糖を残しながら還元熟成を行う、古酒甲州と呼ばれるようなワインでした。

留学時代、私は、色々な場面で甲州をサーヴィスしました。
時には、ライスワインと中傷されることもありました。
悔しさをかみしめながら、おじいちゃんの言葉が蘇りました。「やっぱり、鯉が滝を登るよりも難しいのだろうか」
それで、まだ始まったばかりだもの。と何だか可笑しくなって、元気になれたりしました。

それが今回、世界のワイン業界において、最も影響力のあるジャーナリストと言われるジャンシスロビンソンMWが、甲州を目的に来日されるということ。おじいちゃんも、あの世で腰を抜かしているかもしれませんね(笑)。

私は、去年、山梨を、いまや日本を代表するソムリエールの結花さんから、ジャンシスロビンソンMWの記事を渡されました。

「やっぱり私は白が好き」
と題された記事には、まるで甲州を後押しするかのようなお話が載っていました。
へヴィーで、樽香がぷんぷんするような赤ワインではなく、これからは低アルコールでフレッシュな白の時代ー
そんなような記事だったと記憶しています。彼女自身、ドイツのリースリングを好んで飲まれているそうです。

私は、浅はかと知りつつですが、この話をきっかけに、甲州は歴史的だけにではなく、市場でも重要な役割を果たすのかもしれないと、セミナーなどでも、甲州は有望とお話させていただいています。

そのなかでも、以前、そのセミナーを取材していただいた方の1人から「甲州は世界のイチローになれるのか」という記事を頂いたことがあります。

今まで、アメリカでは、巨砲と呼ばれるようなホームランヒッターが望まれてきたが、しなやかに巧みにヒットを生み出すイチローのスタイルが、旋風を巻き起こした。イチローは日本の誇りである。甲州は果たしてイチローとなれるのか。というような内容でした。
http://blogs.yahoo.co.jp/londonsakeboy/31358177.html

この記事のことを父に告げると「悲しいけどイチローにはなれないでしょ。」と一蹴。
それでも甲州の歴史を考えると、日本で大事にされている伝統工芸と同じような重みがある。
何としても、ここは、世界のイチロー、世界のトヨタ、世界の京都となって欲しい。

甲州とジャンシスロビンソンMWのこれまでのつながりはと言うと、2000年、イギリスのファイナンシャルタイムズにおいて、ジャンシスロビンソンMWは、「日本で飲んだ最も美味しかったワイン」として、弊社の「グレイス甲州1999」に言及してくれていました。
アルザスのピノグリを連想させるとおっしゃっていたことが印象的でした。
ジャンシスロビンソン ファイナンシャルタイムズ.jpg


また、去年には、香港で行われたオークションで、ジャンシスロビンソンじきじきに、グレイス甲州菱山畑を日本を代表するワインとして紹介していただきました。

ジャンシスロビンソン 香港イベント.jpg


世界のワインの権威者が、甲州のセミナーを行うのは、2004年のロバートパーカー以来。
「樽を使ったへヴィーなワインを評価する」として日本で知られたロバートパーカーが、アルコール度数10%程の甲州に対して高評価を下し、その後行われたセミナーでは、樽を使ったシャルドネではなく、ライトで甲州を意識させるかのような品種のワインを並べた事に、驚き感嘆しました。

世間の評価では、ロバートパーカーと対照が際立つジャンシスロビンソンMW。もうひとりの世界のワインの権威者が、甲州に対してどんな見解を示されるのか、どきどきしています。
(もっとも、ジャンシスロビンソンは、その著書の中で、ロバートパーカーのライターとしての姿に敬意を示しており、彼らが対立関係にあると言ってしまうのは、少し浅さかなようです)


今回のセミナーの立役者となった「KOJ」についてもおいおいきちんとお話しようと思っていますが、経済産業省の事業として採択された、いまや行政も本気の「甲州輸出プロジェクト」です。
http://www.koshuofjapan.com

・・・おじいちゃん、それにしてもすごい時代になりましたね[ぴかぴか(新しい)]




低アルコールと向き合う [甲州について]

グレイスワインの月曜日は、早朝会議から始まります。

社長や幹部が集まるのは、朝の七時半。

農園、醸造、営業、経理が、今週の予定と重大なニュースを話し合います。

全体朝礼は、その後8時から行われますが、早朝会議に出席しない社員のみんなも、朝早くからお掃除や体操をしています。

全体朝礼は、まず倫理をみんなで説き、その後社長の一言へと続きます。
社長の話は、一週間の政治や、社会状況を踏まえた話が多く、朝からピリリとする瞬間です。

また、月曜日は、本社の勝沼の技術者と、明野の技術者が直接会って、情報交換をできる機会です。
朝礼後は、合同で勉強会をしたり、今は、2008年の赤のアッサンブラージュの検討を行っています。

私は、普段、明野のワイナリーで、フラッグシップの「キュヴェ三澤」やセカンドワインの「グレイスシャルドネ」、「グレイスメルロ」などヨーロッパ品種を中心に担当しています。
定番の「グレイス甲州」、「グレイス甲州菱山畑」など甲州は、勝沼のワイナリーで醸造しています。

それでも、明野のワイナリーを担当する中で、少し甲州も造っています。
3年前、私は父から「EUの法律で甲州を造る」というテーマを与えられました。
当時、フランスから帰ってきたばかりの私には、あまり抵抗のない課題だったのですが、今では甘かったなと正直感じています。

甲州は私にとって一番なじみのある品種でありながら、一番理解できていない品種かもしれません...。

EUの法律でワインを造るとはどういうことかと言うと、日本の法律とは、実際かなり異なっています。

まず日本にはワイン法がありません。
ヨーロッパでは、ワイン=葡萄ですが、日本でワインと言っても、その原料が葡萄とは限りません。

じゃあワイン法がないから何をやっても良いかと言うとそうでもなくて、私たちは普段、酒税法と食品衛生法に則ってワインを造っています。

ヨーロッパのワイン法と違うのは、ヨーロッパでは、使用禁止の物質名が挙げられているのに対し、日本は、使用できる物質のみ挙げられています。

例えば、日本では、硫酸銅や、オークチップの使用が認められていませんが、これは、挙げられていないから使用できないということになります。

他にも、多くのことが異なります。上記では、日本での法律が厳しいように聞こえると思いますが、もちろんワイン法がないということで、自由な部分もあります。

甲州に限っては特に、補糖量の制限が問題になると思います。

EUでは地域によって、補糖量が厳しく制限されていますが、日本には制限がありません。

以前のブログで「糖度20度の壁」と紹介したように、甲州は糖度が上がりにくい性質があります。

アルコール発酵によって、糖は分解され、アルコールが生成されるので、甲州の糖度が上がりにくいと言うことは、アルコール発酵が終わり、ワインになったとき、甲州は、総じて低アルコールになります。


余談ですが、日本では、補糖量を計算する時、非常に複雑な計算をします。
簡単に目見当を付けるだけの時は、糖度×0.55で計算すると、予想されるアルコール度数がだいたい出ます。
それなので、甲州は、糖度が20度までいったとしても、アルコール度数約11%のワインということになります。

(ちなみに、フランスでは、1%のアルコールを上げるのに必要とされるショ糖の量を、16.83g/Lとして計算するのが一般的でした。もちろん、酵母によっては、同じ度数のアルコールを得るのに、よりたくさんの、またはより少ないショ糖を必要にするという前提のもとです)

今、日本の市場に出ている甲州は、アルコール度数12%前後のものがほとんどですので、残念ながら全ての甲州は補糖されていることになります。

年によっては、EUで決められている上限をはるかに超えて、補糖されているワインに出会うこともあります。

アルコール度数が高いことによるメリットは、香味成分の増強です。
アルコールが高いと、香りは揮発しやすくなります。
グリセリン等、アルコール発酵の副産物の中では、生成されるアルコール量に比例してできるものもありますので、あつみをもたらすことも考えられます。
また、ワインのアルコールの主成分であるエタノールには「甘味」があり、ワインのバランスを構築するためには、非常に重要とされています。

他にも、熟成に寄与するなどの効果があります。
(しかし、実際は、2004年にボルドー大学のデュボルデュ教授の指導のもと、醸造した無補糖(アルコール度数10%)の辛口甲州が、酸化をかんじさせるどころかフレッシュに今でも飲めたり、「キュヴェ三澤甲州PR2005」が、11%ちょっとしかアルコールが無いのに、嫌味がなく熟成しているところを見ると、これは一概に言えないのかもしれません。)

造り手に取って、アルコール度数が重要視されるのは、当然のことと言えると思います。

実際、アルコール度数が11%と言う甲州を、3年前から造っていますが、「物足りない」と言われることがほとんどで、「EU規定でワインを造るから偉いんじゃない。EU規定で美味しいワインを造って初めて偉いのだ」と言い聞かせている毎日です。

これから始まるEUへの甲州輸出プロジェクト(追ってこの話もさせていただきたいと思います)では、「低アルコール」が一つのキーになります。

へビーでフルボデイの赤ではない、ライトでヘルシーな白で旋風を起そう!という一面を持つこのプロジェクト。

日本では、まだまだ受け入れられないのが、厳しい現状です。

だったらどうするか。

ロンドンのように、低アルコールを個性として受け止めてくれる市場を探す。

とにかくもっと工夫をして、低アルコールながらあつみを出す方法を探す。でも残糖感に頼ってはいけない。


前置きが、とっても長くなってしまいましたが、今朝は、2009年のタンクサンプルを持って、勝沼の醸造責任者の土橋さんと相談でした。

スーパー甲州が日本にまだ存在しない今、私にとって最高の甲州の造り手は、父か土橋さんです。

輸出プロジェクトが始まれば、どの造り手も同じ条件で、甲州を造ります。

その時には、「低アルコールだから」と言い訳せず、美味しいワインを造っていたい。

そう思っています。







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