30年後の再会 [海外のワイン]
アルゼンチンに出発する前、父から一つのメールアドレスをもらっていました。
「もう誰かははっきりと思い出せないんだけど、メンドーサの造り手のアドレスだよ。」
知り合いのいない産地に行くとき、こういうアドレスには、何だか縁を感じるものです。
連絡を取ってみたところ、その人は、メンドーサにある「Tempus Alba」というワイナリーのオーナーということが分かりました。
Tempus Albaは、マルベックのクローンセレクションで知られたワイナリーです。
家族経営の小さなワイナリーですが、ワイナリーやワインのデザインがきれいですし、ワイナリー内にあるレストランでは、美味しい食事を楽しむことができます
オーナーは、カテナのチーフワインメーカーとも仲が良いのですが、メンドーサの数あるワイン団体の一つを任されているなど、メンドーサワインの発展にも努めている方です
オーナーは、連絡にびっくりしたそうですが、とても歓迎してくれました。そして、父と思い出を語ってくれました。オーナーと父が出会ったのは、何と30年前。父が山梨県の研修でアルゼンチンに訪れたとき、オーナーと知り合ったそうです。
「アルゼンチンワインは、30年前からずいぶん変ったよ。日本のワインはどう?甲州は?」
甲州という名前を覚えてくれたことが嬉しかったのと同時に、30年前というと、父も今の私と同じような年頃に、メンドーサを訪ねていたことになります。その頃、父は何を感じたのだろう・・・そんなことが頭をよぎりました。
「日本のワインもずいぶん変わりました。」
「あの頃の甲州は、甘口が多かったね。」
「もう、甲州のスタイルは、ほとんど辛口になりました。」
「あなたのような若い醸造家もたくさんいるの?」
「はい。」
「それは良かった。」
そんな会話をしながら、アルゼンチンワインと、日本ワインが、30年間で違う時の早さをを歩んでいたんだなと感じました。
世界の最高峰のワインにも選ばれるほどのアルゼンチンのマルベック。
日本ワインが歩んできたのは、試行錯誤の30年。これからの30年は、古いもの、新しいものが混ざり合って混沌としていくんだろうなとふと思いました。
父が果たせなかった30年来の再会に、思わず、自分の30年後を重ねました。
30年後、日本ワインは何も変わっていないじゃないか。そう新しい世代に言われないように頑張っていこう(笑)
「もう誰かははっきりと思い出せないんだけど、メンドーサの造り手のアドレスだよ。」
知り合いのいない産地に行くとき、こういうアドレスには、何だか縁を感じるものです。
連絡を取ってみたところ、その人は、メンドーサにある「Tempus Alba」というワイナリーのオーナーということが分かりました。
Tempus Albaは、マルベックのクローンセレクションで知られたワイナリーです。
家族経営の小さなワイナリーですが、ワイナリーやワインのデザインがきれいですし、ワイナリー内にあるレストランでは、美味しい食事を楽しむことができます
オーナーは、カテナのチーフワインメーカーとも仲が良いのですが、メンドーサの数あるワイン団体の一つを任されているなど、メンドーサワインの発展にも努めている方です
オーナーは、連絡にびっくりしたそうですが、とても歓迎してくれました。そして、父と思い出を語ってくれました。オーナーと父が出会ったのは、何と30年前。父が山梨県の研修でアルゼンチンに訪れたとき、オーナーと知り合ったそうです。
「アルゼンチンワインは、30年前からずいぶん変ったよ。日本のワインはどう?甲州は?」
甲州という名前を覚えてくれたことが嬉しかったのと同時に、30年前というと、父も今の私と同じような年頃に、メンドーサを訪ねていたことになります。その頃、父は何を感じたのだろう・・・そんなことが頭をよぎりました。
「日本のワインもずいぶん変わりました。」
「あの頃の甲州は、甘口が多かったね。」
「もう、甲州のスタイルは、ほとんど辛口になりました。」
「あなたのような若い醸造家もたくさんいるの?」
「はい。」
「それは良かった。」
そんな会話をしながら、アルゼンチンワインと、日本ワインが、30年間で違う時の早さをを歩んでいたんだなと感じました。
世界の最高峰のワインにも選ばれるほどのアルゼンチンのマルベック。
日本ワインが歩んできたのは、試行錯誤の30年。これからの30年は、古いもの、新しいものが混ざり合って混沌としていくんだろうなとふと思いました。
父が果たせなかった30年来の再会に、思わず、自分の30年後を重ねました。
30年後、日本ワインは何も変わっていないじゃないか。そう新しい世代に言われないように頑張っていこう(笑)
2011-05-23 02:50
サルタ研修 [海外のワイン]
アルゼンチンのワイン産地として、メンドーサの他に知られているのが、サルタという北の古い歴史のある町です。
チーフワインメーカーに呼ばれ、「彩奈、サルタで研修しておいで!!」…ということで、早速先週一週間、アシスタントワインメーカーと一緒にサルタのワイン産地、カファジャテに行ってきました
カテナは、カファジャテで、トロンテスという白品種を栽培しています。メンドーサのマルベック、カファジャテのトロンテスという風に知られています トロンテスは、マスカットのような香り高い品種ですが、その造りはだんだんと変わってきています。30年前、トロンテスと言うと甘口ばかりでしたが、最近は辛口の方がよく見られ、ワインメーカーの言うところの「安っぽい香水の香り」ではなく、かんきつ類や、花の香りなどがきれいに出ているものも多いです。トロンテスの酒質向上を願うワインメーカーや、研究所の努力の賜物です
とは言っても、メンドーサからカファジャテまでは、1200km 一日がかりの運転になりましたが、北上していくとき、景色がとてもきれいでした
ワイナリーに到着です!トロンテスの畑 日差しが強いカファジャテでは、トロンテスの棚栽培が主流です。
ワイナリーでは、酸素に触れない新しいタイプのプレスを使っていました。
ワイナリーの食事
これは、子ヤギですが、アルゼンチンでは、四足で歩いているものは何でも食べるのではないかと思ってしまいます(笑)というと、「日本人は、泳いでいるものは何でも食べるでしょう?」と返されてしまうのですが・・・(笑)
ワイナリーの宿舎。メンドーサと比べると、ずっとのんびりしていて、穏やかな雰囲気です。
宿舎には花壇があり、毎朝とても明るい気持ちになれました
近くには、ワイン博物館があり、カファジャテがいかにトロンテスを大切にしているかが伝わってきました
こういうとき、思わず考えてしまうのは、甲州のことです・・・。
サルタは、アルゼンチンの中でも、最も美しい場所の一つだとは聞いていたのですが、カファジャテは、私が見てきた中でも、世界で最も美しいワイン産地の一つです ワイン産地が山の中にあるという感じです。
ワイナリーもいくつか訪ねました!!特にお勧めなのは、「Finca las Nubes」という銘柄を造っている「Bodega Jose Luis Mounier」というワイナリーです。小さいワイナリーですが、景色もワインも素晴らしいです 除草剤を使わない畑では、仔馬が草を食べています。
Finca las Nubes のワインメーカーと
カファジャテのあちこちで、穴のあいた石を見かけたのですが、これは、モルテロといって、原住民が、木の実を砕いたりするのに使うそうです。
Bodega Jose Luis Mounierのモルテロ。
例えば、これは、アルガロボという木の実ですが、モルテロを使って、粉末状に砕いて食料にするそうです。
カファジャテからサルタの町に向かうことになったのですが、その途中の景色が素晴らしかったです
まるで蛙の岩です!!
サルタに着きました!サルタは、ボリビアやペルーに向かうパックパッカーたちでも溢れています。
サルタの協会は、本当にきれいでした
サルタには、ブエノスアイレス→タンゴと同様、サルタ→フォルクローレという伝統音楽があります 夜になると、レストランのあちこちで、ショーが見られます。
アルゼンチンの民族衣装のガウチョ
ショーが見られるお勧めレストラン「La Vieja Estacion」
住所 Barcarce 885
電話 421-7727
仕事と観光で半々くらいになっていたので、何だか申し訳なく「何だか、研修に来たのか、観光に来たのか分からなくなった」とアシスタントワインメーカーに言うと、「ワイナリーのみんな、彩奈にアルゼンチンの美しい場所をメンドーサ以外にも知ってほしかったんだよ」。
それを聞いてありがたいなあと思いました。私も、日本の美しいところをもっともっと知ってほしい。そういう気持ちと同じなんだろうなと思うのです。
今の悩みは・・・マーケットで買った小さい仙人掌。どうやって日本に持って帰ろう・・・やっぱり無理かな
長い旅になりましたが、最後にSalva tu alma、Save your soulの意味です カファジャテで
チーフワインメーカーに呼ばれ、「彩奈、サルタで研修しておいで!!」…ということで、早速先週一週間、アシスタントワインメーカーと一緒にサルタのワイン産地、カファジャテに行ってきました
カテナは、カファジャテで、トロンテスという白品種を栽培しています。メンドーサのマルベック、カファジャテのトロンテスという風に知られています トロンテスは、マスカットのような香り高い品種ですが、その造りはだんだんと変わってきています。30年前、トロンテスと言うと甘口ばかりでしたが、最近は辛口の方がよく見られ、ワインメーカーの言うところの「安っぽい香水の香り」ではなく、かんきつ類や、花の香りなどがきれいに出ているものも多いです。トロンテスの酒質向上を願うワインメーカーや、研究所の努力の賜物です
とは言っても、メンドーサからカファジャテまでは、1200km 一日がかりの運転になりましたが、北上していくとき、景色がとてもきれいでした
ワイナリーに到着です!トロンテスの畑 日差しが強いカファジャテでは、トロンテスの棚栽培が主流です。
ワイナリーでは、酸素に触れない新しいタイプのプレスを使っていました。
ワイナリーの食事
これは、子ヤギですが、アルゼンチンでは、四足で歩いているものは何でも食べるのではないかと思ってしまいます(笑)というと、「日本人は、泳いでいるものは何でも食べるでしょう?」と返されてしまうのですが・・・(笑)
ワイナリーの宿舎。メンドーサと比べると、ずっとのんびりしていて、穏やかな雰囲気です。
宿舎には花壇があり、毎朝とても明るい気持ちになれました
近くには、ワイン博物館があり、カファジャテがいかにトロンテスを大切にしているかが伝わってきました
こういうとき、思わず考えてしまうのは、甲州のことです・・・。
サルタは、アルゼンチンの中でも、最も美しい場所の一つだとは聞いていたのですが、カファジャテは、私が見てきた中でも、世界で最も美しいワイン産地の一つです ワイン産地が山の中にあるという感じです。
ワイナリーもいくつか訪ねました!!特にお勧めなのは、「Finca las Nubes」という銘柄を造っている「Bodega Jose Luis Mounier」というワイナリーです。小さいワイナリーですが、景色もワインも素晴らしいです 除草剤を使わない畑では、仔馬が草を食べています。
Finca las Nubes のワインメーカーと
カファジャテのあちこちで、穴のあいた石を見かけたのですが、これは、モルテロといって、原住民が、木の実を砕いたりするのに使うそうです。
Bodega Jose Luis Mounierのモルテロ。
例えば、これは、アルガロボという木の実ですが、モルテロを使って、粉末状に砕いて食料にするそうです。
カファジャテからサルタの町に向かうことになったのですが、その途中の景色が素晴らしかったです
まるで蛙の岩です!!
サルタに着きました!サルタは、ボリビアやペルーに向かうパックパッカーたちでも溢れています。
サルタの協会は、本当にきれいでした
サルタには、ブエノスアイレス→タンゴと同様、サルタ→フォルクローレという伝統音楽があります 夜になると、レストランのあちこちで、ショーが見られます。
アルゼンチンの民族衣装のガウチョ
ショーが見られるお勧めレストラン「La Vieja Estacion」
住所 Barcarce 885
電話 421-7727
仕事と観光で半々くらいになっていたので、何だか申し訳なく「何だか、研修に来たのか、観光に来たのか分からなくなった」とアシスタントワインメーカーに言うと、「ワイナリーのみんな、彩奈にアルゼンチンの美しい場所をメンドーサ以外にも知ってほしかったんだよ」。
それを聞いてありがたいなあと思いました。私も、日本の美しいところをもっともっと知ってほしい。そういう気持ちと同じなんだろうなと思うのです。
今の悩みは・・・マーケットで買った小さい仙人掌。どうやって日本に持って帰ろう・・・やっぱり無理かな
長い旅になりましたが、最後にSalva tu alma、Save your soulの意味です カファジャテで
2011-05-16 07:10
自社畑の収穫が終わりました! [海外のワイン]
今日、カテナの自社畑では、最後のカベルネの収穫を終えました
カベルネソーヴィニヨン
これからは、果汁の抽出作業などの発酵管理や、発酵が終わったロットを樽に移動させるなどの貯酒管理がメインの仕事になっていきます。
朝晩はもうすっかり冬の気配ですが、昼間は太陽が気持ち良いです
カベルネソーヴィニヨン
これからは、果汁の抽出作業などの発酵管理や、発酵が終わったロットを樽に移動させるなどの貯酒管理がメインの仕事になっていきます。
朝晩はもうすっかり冬の気配ですが、昼間は太陽が気持ち良いです
2011-05-05 04:48
お気に入りのタンク [海外のワイン]
カテナには、小仕込みのロットがいくつかあるのですが、その中でも特にお気に入りのタンクがあります
長い(笑)!!!作業はちょっと大変ですが、いつテイステイングしても、好きなタンクです
赤ワインの場合、大げさに言うと、顆粒を発酵させる容器であればいいので、マテリアルは反応を起こしにくいものであれば、何でもいいことになります。もちろん、オークや、温度管理ができるものであれば、さらに良いのですが・・・
他にもカテナでは、オークや、プラスチックの容器を小仕込み用に使っています。
個人的に、小仕込みが好きですが、長く浅い容器の味わいが良いのは、ただ面白いからだけではなく、寸胴のタンクよりも、顆粒と果汁の接触する面積が大きく、また、多くをマニュアルで行わなければならないことから、より注意が注がれているのだと理解しています。
プレス中・・・
これは、ofounierというワイナリーの小仕込み用タンクです。ofounierはポンプを使わないワイナリーとして知られています。メンドーサでは、このように小仕込み試験を行っているワイナリーが多いです。
長い(笑)!!!作業はちょっと大変ですが、いつテイステイングしても、好きなタンクです
赤ワインの場合、大げさに言うと、顆粒を発酵させる容器であればいいので、マテリアルは反応を起こしにくいものであれば、何でもいいことになります。もちろん、オークや、温度管理ができるものであれば、さらに良いのですが・・・
他にもカテナでは、オークや、プラスチックの容器を小仕込み用に使っています。
個人的に、小仕込みが好きですが、長く浅い容器の味わいが良いのは、ただ面白いからだけではなく、寸胴のタンクよりも、顆粒と果汁の接触する面積が大きく、また、多くをマニュアルで行わなければならないことから、より注意が注がれているのだと理解しています。
プレス中・・・
これは、ofounierというワイナリーの小仕込み用タンクです。ofounierはポンプを使わないワイナリーとして知られています。メンドーサでは、このように小仕込み試験を行っているワイナリーが多いです。
2011-04-30 04:41
ミクロオキシジェナシオン [海外のワイン]
先週まで二週間、フランス人のワインメーカーが研修に来ていたのですが、しきりに「ミクロオキシジェナシオンについてどう思うか?」と聞いていたのが印象的でした
ミクロオキシジェナシオンとは、赤ワイン果汁に微量の酸素を送り込む方法です。ほとんどの場合、発酵終了間近、または発酵後の果汁に対して行われる作業です。
写真のように、細い管を通して、タンクの中の果汁に酸素が送り込まれます。本当に「ミクロ」の酸素です。
ミクロオキシジェナシオンには、悪天候で葡萄が未熟であったり、収量が多すぎると発現するピーマン香を和らげたり、粗いタンニンに丸みを持たせたりする効果があります。
そして、世界で最も議論される醸造技術であるのには、他の技術よりも激しい二面性があるからだと思います。
以前、ミクロオキシジェナシオンを行ったタンクと、行わなかったタンクを飲み比べたことがあります。ミクロオキシジェナシオンを行ったタンクは、品種の個性が薄れてしまっている。タンニンが柔らかく、今すぐにでも飲める状態になっている。などの違いがありました。
「もし彩奈がミクロオキシジェナシオンを使うとしたら、どういうときに行うか?」とそのとき質問されました。例えば、葡萄が未熟な時。揮発酸が出てしまった時。単一畑の単一品種のワインではなく、ブレンドされるが熟成を待たずに市場に出したいワインに使う。それでも、日本には向かない技術だと考えました。日本のワインは、既にタンニンが柔らかいので、ミクロオキシジェナシオンを行う必要性はないと思います。
ミクロオキシジェナシオンは、ワインコンサルタントとして名を馳せるミッシェルローランによって、世界中に広められました。
映画モンドヴィーノで、悪役を買ったミッシェルローランですが、今も「熟成を待たずに飲めるパワフルな赤ワイン」で市場を大きく動かしています。確かに、ミクロオキシジェナシオンには、場合によってはメルロもカベルネも同じような味わいになってしまう、産地の個性も失われてしまいます。しかし、私は、一人の醸造家が、マーケテイングまでも影響を与えてしまうのは、やっぱりすごいことだと思うんです。
醸造家には、いろいろな姿があります。畑に毎日出る醸造家もいれば、ワインコンサルタントとして、世界を飛び回る醸造家もいます。何がいいか悪いかは、残念だけど、何十年も待ってみないと分からないものです。
一つ言えることは、ミクロオキシジェナシオンには、知識と経験が要ります。一度入れられた酸素は戻すことができません。カテナでも、ワインメーカーがテイステイングすることによって、的確なロットに、的確な量が入れられています。
ミクロオキシジェナシオンの量を定める機械
ミクロオキシジェナシオンとは、赤ワイン果汁に微量の酸素を送り込む方法です。ほとんどの場合、発酵終了間近、または発酵後の果汁に対して行われる作業です。
写真のように、細い管を通して、タンクの中の果汁に酸素が送り込まれます。本当に「ミクロ」の酸素です。
ミクロオキシジェナシオンには、悪天候で葡萄が未熟であったり、収量が多すぎると発現するピーマン香を和らげたり、粗いタンニンに丸みを持たせたりする効果があります。
そして、世界で最も議論される醸造技術であるのには、他の技術よりも激しい二面性があるからだと思います。
以前、ミクロオキシジェナシオンを行ったタンクと、行わなかったタンクを飲み比べたことがあります。ミクロオキシジェナシオンを行ったタンクは、品種の個性が薄れてしまっている。タンニンが柔らかく、今すぐにでも飲める状態になっている。などの違いがありました。
「もし彩奈がミクロオキシジェナシオンを使うとしたら、どういうときに行うか?」とそのとき質問されました。例えば、葡萄が未熟な時。揮発酸が出てしまった時。単一畑の単一品種のワインではなく、ブレンドされるが熟成を待たずに市場に出したいワインに使う。それでも、日本には向かない技術だと考えました。日本のワインは、既にタンニンが柔らかいので、ミクロオキシジェナシオンを行う必要性はないと思います。
ミクロオキシジェナシオンは、ワインコンサルタントとして名を馳せるミッシェルローランによって、世界中に広められました。
映画モンドヴィーノで、悪役を買ったミッシェルローランですが、今も「熟成を待たずに飲めるパワフルな赤ワイン」で市場を大きく動かしています。確かに、ミクロオキシジェナシオンには、場合によってはメルロもカベルネも同じような味わいになってしまう、産地の個性も失われてしまいます。しかし、私は、一人の醸造家が、マーケテイングまでも影響を与えてしまうのは、やっぱりすごいことだと思うんです。
醸造家には、いろいろな姿があります。畑に毎日出る醸造家もいれば、ワインコンサルタントとして、世界を飛び回る醸造家もいます。何がいいか悪いかは、残念だけど、何十年も待ってみないと分からないものです。
一つ言えることは、ミクロオキシジェナシオンには、知識と経験が要ります。一度入れられた酸素は戻すことができません。カテナでも、ワインメーカーがテイステイングすることによって、的確なロットに、的確な量が入れられています。
ミクロオキシジェナシオンの量を定める機械
2011-04-27 03:52
メンドーサのお勧めワイナリー [海外のワイン]
先週、いくつかワイナリーをしたのですが、特に気に入ったワイナリーがありました
ワイナリー訪問をしたときは、ちょうど選果の真っ最中でした
ワイナリーの名前は、MENDELと言います 規模は大きくありませんが、造りたいワインの方向がしっかりしていると感じました。
ワインメーカーのロベルトは、メンドーサで伝説の人と聞いていましたが、実際に話をしてみて、彼が30年以上先を見越してワインを造ってきたことが分かり、感動しました。現在のワイン造りの仕事は、ほぼ息子のサンテイアゴに任せられていますが、彼もまた非常に優秀なワインメーカーであることがうかがえました。
試飲したワイン
どちらかというと、伝統的な造りで、芯の強さを感じるワイン。市場でもてはやされるワインのタイプではないかもしれませんが、心を捉える何かがあります。
メンドーサへお越しの際は、ぜひ訪ねてみてください
「MENDEL WINES」
住所 Terrada 1863, Mayor Drummond (5507) Lujan de Cuyo, Mendoza, Argentina
電話 +54 (261) 4984239
http://www.mendel.com.ar
ワイナリー訪問をしたときは、ちょうど選果の真っ最中でした
ワイナリーの名前は、MENDELと言います 規模は大きくありませんが、造りたいワインの方向がしっかりしていると感じました。
ワインメーカーのロベルトは、メンドーサで伝説の人と聞いていましたが、実際に話をしてみて、彼が30年以上先を見越してワインを造ってきたことが分かり、感動しました。現在のワイン造りの仕事は、ほぼ息子のサンテイアゴに任せられていますが、彼もまた非常に優秀なワインメーカーであることがうかがえました。
試飲したワイン
どちらかというと、伝統的な造りで、芯の強さを感じるワイン。市場でもてはやされるワインのタイプではないかもしれませんが、心を捉える何かがあります。
メンドーサへお越しの際は、ぜひ訪ねてみてください
「MENDEL WINES」
住所 Terrada 1863, Mayor Drummond (5507) Lujan de Cuyo, Mendoza, Argentina
電話 +54 (261) 4984239
http://www.mendel.com.ar
2011-04-24 02:11
クリオマセレーション [海外のワイン]
白ワインを醸造するときに、クリオエクストラクションと言って、葡萄を凍らせてプレスをする方法が知られています。糖度の高い果汁のみ手に入れることが目的ですが、カテナでは今年、赤品種のマルベックを凍らせてマセレーション(抽出)をする実験が行われています。
タンクに、ドライアイスを入れ、0度以下にします。発酵前に、温度を一度下げる方法を「コールドマセレーション」と言いますが、コールドマセレーションの温度は、大体5度から10度くらいの間で行われます。なので、カテナが実験しているのは、コールドマセレーションよりさらに温度の低い「クリオマセレーション」ということになります。
色素をより抽出するためですが、見ていてとても面白い方法です。ドライアイスの入ったタンク
しかし、ただ面白いからというだけではいけないと思います 他のワインメーカーの人たちとも話していましたが、色素を抽出する方法は、他にもあります。ドライアイスはとても高価です。これから統計を取り、どれくらいの効果があるかを見ていかなければいけません。
これとは全く別ですが、私も小さなタンクを実験用にいただきました 責任がついてくると全然違ってくるので、マルベックにもっともっと近づいていきたいと思います。マルベックをもっと知ることができれば、メンドーサの風土や人ももっと理解できるような気がするのです。
タンクに、ドライアイスを入れ、0度以下にします。発酵前に、温度を一度下げる方法を「コールドマセレーション」と言いますが、コールドマセレーションの温度は、大体5度から10度くらいの間で行われます。なので、カテナが実験しているのは、コールドマセレーションよりさらに温度の低い「クリオマセレーション」ということになります。
色素をより抽出するためですが、見ていてとても面白い方法です。ドライアイスの入ったタンク
しかし、ただ面白いからというだけではいけないと思います 他のワインメーカーの人たちとも話していましたが、色素を抽出する方法は、他にもあります。ドライアイスはとても高価です。これから統計を取り、どれくらいの効果があるかを見ていかなければいけません。
これとは全く別ですが、私も小さなタンクを実験用にいただきました 責任がついてくると全然違ってくるので、マルベックにもっともっと近づいていきたいと思います。マルベックをもっと知ることができれば、メンドーサの風土や人ももっと理解できるような気がするのです。
2011-04-12 04:02
アドリアナヴィニヤード [海外のワイン]
カテナの持つ畑のうち、最も面白いなと思うのがアドリアナヴィニヤードです 標高約1500mに位置し、ここで育てられるマルベックは、果皮がしっかりとしており、質の良いタンニンを持っています。
甲州の造りに携わるうち、香りや味わいのボリュームより、質に注目するようになりました。シンプルな品種である甲州ですが、良い畑で造られる甲州は、少量でも香りが高貴ですし、酸も複雑味があります。同じことが赤品種にも言えると思います。私は、タンニンもただ量があるだけではなく、苦味が少なく、細やかなタンニンの赤ワインを造りたいと思っています。
アドリアナヴィニヤード
収穫間近のマルベックは、葡萄の梗が茶色くなっています
普通、葡萄の房で品種を見分けることは非常に難しいといわれ、葉の形で区別することが多いのですが、マルベックは、逆三角形という特徴のある房なりになっています。
網は、雹を避けるためにかけています
ミサワワイナリーもそうなのですが、実際に葡萄の味を見て、収穫日程を決定します。例えば未熟果と、良く熟した果実では、種の熟し方も全然違います。こうしたところは、分析に頼ることはできません
未熟果の種
とてもよく熟した果実の種
収獲間近のマルベックの味をみていると、まだ葡萄の段階なのに、糖のレベル、果実香、タンニンが一体になっている印象を受けました。
ワインの世界では、ヨーロッパを中心とする「旧世界」、オーストラリア、NZ、チリ、アルゼンチンなどのワイン新興国を中心とする「新世界」の二つに大きく組み分けられます。「新世界」のワインは、「旧世界」のワインに比べ、一般的に、全体がまとまっており、香りが開いており、味わいも、熟成させなくても飲みやすい状態になっていると言われています。マルベックの葡萄をテイステイングしながら、醸造も関係しているのでしょうが、葡萄の影響が大きいのだということを再確認しました。
アドリアナヴィニヤードがあるトゥプンガトという産地は、とても美しいところです
甲州の造りに携わるうち、香りや味わいのボリュームより、質に注目するようになりました。シンプルな品種である甲州ですが、良い畑で造られる甲州は、少量でも香りが高貴ですし、酸も複雑味があります。同じことが赤品種にも言えると思います。私は、タンニンもただ量があるだけではなく、苦味が少なく、細やかなタンニンの赤ワインを造りたいと思っています。
アドリアナヴィニヤード
収穫間近のマルベックは、葡萄の梗が茶色くなっています
普通、葡萄の房で品種を見分けることは非常に難しいといわれ、葉の形で区別することが多いのですが、マルベックは、逆三角形という特徴のある房なりになっています。
網は、雹を避けるためにかけています
ミサワワイナリーもそうなのですが、実際に葡萄の味を見て、収穫日程を決定します。例えば未熟果と、良く熟した果実では、種の熟し方も全然違います。こうしたところは、分析に頼ることはできません
未熟果の種
とてもよく熟した果実の種
収獲間近のマルベックの味をみていると、まだ葡萄の段階なのに、糖のレベル、果実香、タンニンが一体になっている印象を受けました。
ワインの世界では、ヨーロッパを中心とする「旧世界」、オーストラリア、NZ、チリ、アルゼンチンなどのワイン新興国を中心とする「新世界」の二つに大きく組み分けられます。「新世界」のワインは、「旧世界」のワインに比べ、一般的に、全体がまとまっており、香りが開いており、味わいも、熟成させなくても飲みやすい状態になっていると言われています。マルベックの葡萄をテイステイングしながら、醸造も関係しているのでしょうが、葡萄の影響が大きいのだということを再確認しました。
アドリアナヴィニヤードがあるトゥプンガトという産地は、とても美しいところです
2011-04-09 05:10
Francesco [海外のワイン]
アメリカ人のジャーナリストが来るということで、試飲会にご一緒させていただきました
試飲したワイン
アルゼンチンのトップワインを集めたというだけあり、素晴らしいワインばかりでした
Zuccardiと言う名門ワイナリーがありますが、そこの造ったトロンテスが出ていました。
トロンテスもアルゼンチン特有の白品種ですが、カテナではあまり口にする機会がありません。以前、ワインメーカーの一人から、トロンテスは、病気になりやすい、酸化しやすい、pHが高い、酸が落ちやすいなど、ワイン造りの難点を聞いていましたが、マーケテイングも、両極端の好みに分かれるので難しいのだそうです。
ただ、そんな難しい品種でありながら、この日テイステイングしたZuccardiのトロンテスは、とても良く造られていて、良いワインであれば関係ないのだなと実感しました。
試飲会の会場だったレストランのお料理がとても美味しかったです メンドーサに来ることがあれば、ぜひお勧めしたいです。
Francesco
Chile (通り名)1268 , Mendoza
+54 261 4253912
19:30~1:30 ( 月曜日~土曜日)
パスタ
イチゴのデザート
メンドーサは、イタリアからの移民が多いところなので、美味しいイタリアンが多いです
試飲したワイン
アルゼンチンのトップワインを集めたというだけあり、素晴らしいワインばかりでした
Zuccardiと言う名門ワイナリーがありますが、そこの造ったトロンテスが出ていました。
トロンテスもアルゼンチン特有の白品種ですが、カテナではあまり口にする機会がありません。以前、ワインメーカーの一人から、トロンテスは、病気になりやすい、酸化しやすい、pHが高い、酸が落ちやすいなど、ワイン造りの難点を聞いていましたが、マーケテイングも、両極端の好みに分かれるので難しいのだそうです。
ただ、そんな難しい品種でありながら、この日テイステイングしたZuccardiのトロンテスは、とても良く造られていて、良いワインであれば関係ないのだなと実感しました。
試飲会の会場だったレストランのお料理がとても美味しかったです メンドーサに来ることがあれば、ぜひお勧めしたいです。
Francesco
Chile (通り名)1268 , Mendoza
+54 261 4253912
19:30~1:30 ( 月曜日~土曜日)
パスタ
イチゴのデザート
メンドーサは、イタリアからの移民が多いところなので、美味しいイタリアンが多いです
2011-04-07 04:32
Bodegas en Twitter [海外のワイン]
先日、面白いメンドーサの試飲会に行ってきました 20社くらいのワイナリーが参加していたのですが、試飲したワインをツイッターで報告し合うというものです その名も「Bodegas en Twitter」
ステージに黒板があり、次々とツイッターにアップされていくのが分かります
プロだけではなく、ワイン愛好家の情報発信力に驚かされる時代です
チーム・カテナを発見
この男性は、歌手だそうです
メンドーサはワインだけではなく、ギターの生産でも知られているそうです しばらくすると、試飲会場が音楽でいっぱいになり、クラブのようになっていました(笑)アルゼンチンの人々にとって、音楽はかけがえのないもののようです
ステージに黒板があり、次々とツイッターにアップされていくのが分かります
プロだけではなく、ワイン愛好家の情報発信力に驚かされる時代です
チーム・カテナを発見
この男性は、歌手だそうです
メンドーサはワインだけではなく、ギターの生産でも知られているそうです しばらくすると、試飲会場が音楽でいっぱいになり、クラブのようになっていました(笑)アルゼンチンの人々にとって、音楽はかけがえのないもののようです
2011-04-06 03:47